「自我」と「エゴ」は似ていているようでいて、実際には別のものです。
- 「自我」とは「これが私」という自意識のこと
- エゴとは心理的な防衛機能のこと
目次
自我は「自分はこういう人」という意識
「自我」とは簡単に言えば「これが私」という意識。
「他者」と「自分」を区別できる意識のことです。
生まれたばかりの人間にはまだ自我がなく、母親と一体化した状態で生きています。
そのようにして、この世界での「安全」を確保しようとします。
「いやいや期」は自我の芽生え。
思春期に入ると、親と自分は「別の存在」であるという意識がより強く芽生え始めます。
親のいいなりだったこれまでの自分を否定し、親の干渉を退け、「精神的な自立」を目指します。
健全な自我を持った大人へと成長する過程で、大変重要な時期です。
自分は・・・
- これが好き
- これが嫌い
- これしたい
- これはしたくない
- こう感じる(快・不快)
- これが大事
- それはどうでもいい
こうしたことすべてが「健全な自我」の範疇です。
日本では自我をハッキリさせることを「我が強い」といって、「好ましくないこと」と捉えます。
そして、自分の意志に従って生きることを「わがまま」と捉える。
しかし、それは大変不適切なこと。
健全な自我を育くむことは、他者との間に 健全な線引きをする上で必要不可欠です。
境界線がうまく引けない方はこちら ↓
先進諸国においては、子供が自分の好き嫌いを表現すること、親と異なる価値観や意見を持つことは、完全に認められています。
日本では親の干渉が強く、子供の反抗期がうまく行かず、大人になっても心理的に親や家族から自立できない方が大勢いらっしゃいます。
経済的に親から自立しているからと言って、心理的・精神的に自立できているとは限りません。
いくつになっても親の価値観に従っていたり、結婚その他の承認を親から得なければ自由にできないと感じているのなら、まだ親と臍の緒が繋がっているのです。
親からの自立がうまくいかないと、自我が弱くなります。
近年クローズアップされている8050問題も、この辺りに要因があります。
エゴは防衛機能
一方エゴは、「自分を痛みから守るために分裂した人格」のこと。
社会の中で恙(つつが)なく生きていくためのアヴァター人格とも言える。
「自分を守ろうとする防衛機能」がエゴ。
恋愛において、自分が傷つきそうな局面になると、傷つく前に心のシャッターを下ろして立ち去ってしまう「回避性」はエゴの一種。
他者の問題に首を突っ込んで問題を「解決してあげる」ことで自分の価値を確認したい「共依存」もエゴ。
お世辞や社交辞令を使うのもエゴ。
建て前もエゴ。
幼少期から今までに身に着けた生存戦略です。
エゴの働き
多くの方は、事実をありのままに見据える強さを持ちません。
ありのままに自分を見ることは、大きな痛みが伴います。
「私(僕)は、優しすぎるのかもしれない」という言い方をして、自分の問題を誤魔化してしまいます。
自分にとってより都合の良い解釈に置き換えることで、自らの問題行動を正当化します。
それは「優しさ」とは一切関係ない、自我の弱さの問題。
これがエゴの機能です。
健全な自我がしっかりと発達している人は、自分の痛みを受け止められるだけの強さがある。
自我が未発達で弱い人ほど、自己防衛機能(エゴ)が強い。
実務的なエゴの役割
エゴにはまた、機能的で実務的な側面もあります。
- 会社で働く
- 公共料金の支払いを行う
- 不動産会社と交渉する
- 着替える
- 今日はどこへ行って何をするのか決める
すべてエゴが担っている仕事です。
エゴが強すぎるための生じる問題
エゴはあまりにも強くなりすぎると不具合や機能不全として現れます。
- 素直になれない
- 大切なことを聞く耳が持てない
- 自分の悪癖や悪行を正当化して反省できない
- 自分の弱さを守るために大切な人たちを傷つけてしまう
- 新しいことにチャレンジできない
- 成長しない
- 成長しないことを正当化する
- 自分の責任を認めず負わない
- 他者に責任を転嫁する
- 本当の自分がわからなくなる
また、エゴが望んでいることが、本当の自分の望みや願いではありません。
- モテるようになること
- 愛され女子になること
- 仕事で出世すること
- 相手に理想のスペックを求めること
- 見栄えの良い学歴や職歴を求めること
これらは自分の痛みを回避するために、エゴが採用している逃避手段に過ぎません。
自分以外のモノをアイデンティティとする
自我が弱い人は「これが自分」という意識をハッキリお持ちではありません。
そして、
- 私は日本人
- 私は〇〇大学出身
- 私は▲▲の社員
このように、自分以外の何かを自分のアイデンティティとしてしまいます。
そのため、自分とは違う価値観や意見をを持つ他者を、認めることができません。
たとえば、他者が自分の出身地や出身校について肯定的な意見を持たないと、まるで自分そのものが否定されたように感じます。
自我が健全な人なら、出身地や出身校は「自分」ではないと、正常な判断を下して、他者の価値観を受け止めることができます。
健全な自我を育んでエゴを統合する
エゴを統合するためには、健全な自我を育むことが必要不可欠。
「自分はどういう価値観や哲学を持った人間なのか」を明確にし、それを貫いて生きることを日々の中で実践していくことです。
- 自分はどんな人間で
- 何をしたくて
- 何はしたくなくて
- 何が好きで
- 何は嫌いで
- この人生をどう生きたいのか
親や世間から刷り込まれたものはすべて手放し、自分の輪郭を明らかにすること。
それが健全な自我の育成へと繋がっていきます。
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