2021年にノーベル賞を受賞された元・日本人の 真鍋敏郎 さん。
日本では常に互いの心をわずらわせまいと気にしています。
とてもバランスのとれた関係を作っています。
日本人が『YES』と言うとき、必ずしも『YES』を意味しません。
実は『NO』かもしれません。
なぜなら、他の人の気持ちを傷つけたくないからです。
とにかく人の気持ちを害するようなことをしたくないのです。
アメリカでは他の人の気持ちを気にする必要がありません。
私は他の人のことを気にすることが得意ではないのです。
アメリカで暮らすってすばらしいことですよ。
私はまわりと協調して生きることができないのです。
それが日本に帰りたくない理由の一つです。
アメリカでは研究でやりたいことが何でもできました。
非常に恵まれた中で、コンピューターの購入代金などすべてアメリカの政府がやってくれました。
非常に多くのお金を使いました。
私のような科学者が研究でやりたいことを何でもできるんです。
アメリカの科学アカデミーは、日本よりはるかにいろんな意見が学者から上がってきます。
日本よりはるかにいいと思います。
日本の置かれた現状は非常に難しいですね。
政治家と科学者のコミュニケーションがうまくいっていないのが問題だと思います。
日本政府の政策にいろんな分野の専門家の意見がどのように伝わっているのか。
政治家に対してアドバイスするシステムが日本は難しいところがいっぱいあると思うんですよ。
真鍋淑郎
私が日本にとって最大の皮肉かつ屈辱であると感じることは、真鍋さんを始め中村教授など歴代ノーベル賞受賞者や、喜多朗、坂本龍一など、日本の最高峰の才能を誇る日本人が、全員アメリカへ移住してしまうこと。
中村さんに至っては、アメリカの大学でアメリカ人学生に教える傍ら自らの研究に没頭し、原動力は「日本への怒り」と明言されている。
本来であれば「日本が活用できる資産」であるはずのブレインたちが、どんどん海外へ流出してしまう。
これが、日本が進化できない大きな理由の一つ。
真鍋さんの発言に対する、日本のアカデミズムを代表する霊長類・人類学者の山極壽一さんの発言:
これは科学者の側も反省すべきところなんですが、やはり政治家と、あるいは政策を立案する官僚たちと科学者が一体となって、いろんな事を論じ合うことをしてこなかった。
学術の世界というのは、賛否両論いろいろあっていいと思うんです。
時代はドラスティックに変わっていきますから、いまネガティブな意見であっても実は10年後にはすごく大きな効力を発揮するかもしれないわけです。
そういうことが日本の中でだんだん議論されなくなって、“そんたく”というか、政府の顔色ばかりみているような議論が科学者の中にも増えてしまっているとしたら大変情けない事だと思いますね。
山極壽一
「天動説」が常識だった時代に「地動説」を唱えた人たちは、恐ろしく長い間「異端児」扱いされていたわけです。
でも21世紀の今ならば、「地動説」は常識中の常識。
誰も疑う人はいませんね。
日本人の自我は弱く、自分と異なる他者を脅威とみなす傾向が高いです。
「共感し合う」ことによって、脆い自我と心理的安全性を保つ民族。
西洋人のように「自分とは違う他者」の存在を認め共存することに慣れていない。
そして、そこに「男のプライド」が加わるともう、手に負えません。
「男」は本能的に、「自分よりも優れたオス」を警戒し、潰しにかかります。
自分よりも若輩で立場が下の研究者が、自分の研究よりも「優れた」研究を始めたらどうでしょう。
恐らく、無意識のうちに、全力で潰しにかかる。
あるいは、政治家が自分の利権ばかりを考えて、自分にとって都合の良い科学者ばかりを優遇する。
政治家の「私的都合」が、アカデミズムに大きな影響を及ぼすこと自体、憂うべきことなんです。
こういう体質が、アカデミックな場のみならず、産業や教育にも一種の閉鎖的なガラパゴス環境を創り上げ、極度に排他的な空間を維持することで、民族のアイデンティティを保っているようなところがある。
だから進化できないと、私は考えています。
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